院長ブログ

腱鞘炎(ドケルバン病)の整体|原因や解消法を慢性痛専門の整体サロンINUIが解説

こんにちは。新大阪・西中島南方エリアの整体院、整体サロンINUI 代表の乾です。

私は18歳で整体業界に入ってから12年以上、腱鞘炎をはじめとする痛み改善の施術現場に携わってきました。

今回の記事では、慢性症状専門の整体師である私の経験をもとに、腱鞘炎の原因や当院での整体による解消法についてお話ししていきたいと思います。

腱鞘炎(ドケルバン病)の症状

腱鞘炎(ドケルバン病)の症状についてご紹介していきます。

よく訴えられる症状としては、

  • ものを握るような動作で手首が痛む
  • 手首の親指側が腫れて痛い
  • フライパンなど、何かを掴む時に痛む
  • 痛みのために手首の可動域が狭くなっている
  • 一定の角度で手首が痛むことがある
  • 床に手をつく際などに手首が痛む

などのものがあります。

手は日常の中でも頻繁に使うため、腱鞘炎になってしまうと生活の色んな場面で不自由な状態となってしまいます。

また、手が自由に使えないことで他の箇所の負担が増えてしまい、別の箇所の痛みを訴えるような方もいらっしゃいます。

そんな腱鞘炎では、ひどくなる前の早めの対処が大切です。

【あわせて読みたい記事】
◇産後の腱鞘炎の治し方
◇手首の痛みの改善方法

簡単なセルフチェック法

腱鞘炎(ドケルバン病)のセルフチェックの方法についてお伝えしていきます。

まずは下の写真のように、痛む方の手の親指を他の指で握るようにします。

腱鞘炎のセルフチェック

その状態から手首を小指側に曲げ、手首の親指側のあたりにストレッチが加わるようにします。

フィンケルシュタインテスト

その際に、いつも感じるような強い痛みが出れば陽性です。

これはフィンケルシュタインテストという、狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)かどうかを見極める整形外科テストです。

今回の記事では、このテストで陽性反応が出た方向けの内容をお伝えしていきます。

逆に、このテストで陽性反応が出なかった場合は、別の問題が関わっている可能性があります。

その際は、その他の手首の痛みについての解説記事もございます。

こちらからご覧ください。→◇手首の痛みの改善方法

手首の何が痛んでいるのか?

腱鞘炎によって痛んでいる、手首の組織について解説していきます。

下の写真のように、自分の親指を立ててみると親指の腱が2本浮き上がってきます。

腱鞘炎で痛む箇所のイメージ図

腱鞘炎では、主にその手前側にある腱が痛みます。

このあたりには、①短母指伸筋腱と②長母指外転筋腱が通り、その2つの腱と腱鞘の間で摩擦が起こるせいで炎症や痛みが出ると言われています。

下の写真は、腱鞘のイメージ図です。

腱鞘を示した解剖図
【ネッター解剖学アトラス 原書第6版より引用】


それぞれの腱がバラバラにならないように、腱をまとめるリストバンドのような構造になっています。

この腱鞘のトンネルを腱が出入りする際に、局所に摩擦が生じて痛みや炎症の原因となります。

ちなみに、生きた解剖で腱鞘を見てみると、このような分かりやすいバンド状のものではなく、実際はほぼ水のような薄い組織なのだそうです。

このことからも、グリグリ押さえたりするのではなく、やさしく扱ってあげる必要があることがわかります。

腱鞘炎の原因

一般的によく言われている腱鞘炎の原因についてご紹介していきます。

腱鞘炎の原因には様々なものがありますが、その中でも最も一般的なのが「使いすぎ」です。

先述の”手首の何が痛んでいるのか?”でもご紹介しましたが、腱と腱鞘の摩擦が起こることが原因であるため、手を使いすぎることでその摩擦が増え炎症を引き起こすと考えられています。

ただし、使いすぎで痛むからといって「じゃあ、使わないようにすれば治る?」と言われれば、そんな単純なものではありません。

そもそも、生活する上で「手を使わない」ということのハードルはかなり高いですよね。

同じような作業量でも、腱鞘炎になる人とならない人がいます。

つまり、身体の状態や使い方など、その本人が持ち合わせている要素が腱鞘炎の原因に大きく関わるということです。

臨床における腱鞘炎の原因部位

私が腱鞘炎の整体をする上でよく出会う、腱鞘炎の原因部位についてご紹介していきます。

一例としては、

  • 手首周辺の問題
  • 手首以外の問題
  • 神経系の問題
  • 組織の水分不足

などが挙げられます。

ひとつずつ解説していきましょう。

手首周辺の問題

手首周辺の問題によって腱鞘炎を引き起こしているケースがあります。

手首周辺には、腱・靭帯・関節などの組織が存在しますが、その中でも腱鞘炎の原因部位で多いのが「手根骨」の問題です。

手根骨とは、手の根本に集まっている細かい骨の集まりです。

手根骨を示したイメージ図

手根骨は、ほとんど可動することのない半関節という構造をしているのですが、その中での関節の微妙な動きや遊びが重要な役割をします。

また、手根骨のすぐそばを手首を動かす腱などが通るため、この骨の硬さや歪みがあることで、滑らかな腱の動きを邪魔してしまいます。

そのため、腱鞘炎ではそのような関節の影響を受けて、手首の動きが制限されていることが多いです。

この骨のどのエリアで問題が起きているのか、細かくチェックをしていきます。

手首以外の問題

手首以外の問題も、腱鞘炎の原因となります。

なぜなら、手首はそれ単体で動いている訳ではなく、近いところで言えば手の指や肘周り、その他にも筋膜や各組織のつながりから全身とつながりを持ちます。

そのため、一見関係なさそうな部位の問題がきっかけとなって手首の不調を引き起こすことがあるのです。

また、整体の考え方の一つに、「相関関係」というものがあります。

その中では、身体のパーツで 「似た形状のものは似た働きをする」 と考えられています。

例えば、今回の手首と関連する箇所でいうと「首・腰・足首」などが相関関係を持ちます。

手首と腰の相関図
【ネッター解剖学アトラス 原書第6版より引用】

そのような観点からも、手首以外の問題によって手首の痛みを引き起こしている可能性は十分にあるということです。

整体を行う際は、そのような全体性をみて施術することが大切です。

神経系の問題

脳神経の検査をしている風景

中枢から末梢までの神経系の問題も、腱鞘炎の原因となります。

私たちには関節の位置覚が備わっており、無意識に身体の各部位の位置について感覚しています。

その位置覚が神経系の問題によって鈍ってしまうと、身体の使い方がぎこちなくなったり、負担の多い動かし方になってしまうことがあります。

腱鞘炎では、そのような要素も潜んでいるケースがあるため、神経系の問題を判断する検査などを用いて状態把握を行う必要があります。

組織の水分不足

身体の組織の水分不足が、腱鞘炎の原因の一つとして挙げられます。

これは、単純に摂取する水分量が少なかったり、体液循環に問題があった場合などに起こる問題のことです。

「身体のほとんどは水分でできている」とよく言われていますが、腱鞘などの手首周辺の組織についてもそれは同じこと。

水分が不足していた場合、手首を動かすための滑らかさが失われ、局所の摩擦係数が上がってしまいます。

機械などでも、潤滑油がなくなってくると「ギシギシ」と軋むような状態になりますよね?

あのイメージです。

水分摂取の目安量は、ミネラルウォーターを1日1.5〜2リットルです。

もしも下回っているようでしたら、症状改善のためにそこから変えていく必要があるかもしれません。

ミネラルウォーターについては、できれば日本の山や近海で採れたもの、軟水などがおすすめです。

よくいただくご質問(腱鞘炎編)

腱鞘炎の症状をお持ちの方からよくいただくご質問にお答えしていきます。

サポーターをつければ治る?

腱鞘炎の際にサポーターを使って処置することがあります。

動かすと痛む手首を固定できるので、痛みの軽減の補助として効果を発揮します。

ただし、「治る=根本原因を取り除く」と定義するのであれば、サポーターだけでは難しいと考えます。

中には、サポーターをつけるだけで症状が改善されるケースもありますが、臨床的にはそこまで多くはないと感じています。

原因に対するアプローチというよりは、対症療法として手首を休めるためのものであると考えた方が良いでしょう。

湿布を貼れば良くなる?

腱鞘炎でお悩みの方が、湿布を貼って対処している場面をよく見かけます。

しかし、湿布だけでは腱鞘炎の原因は取り除くことは難しいです。

なぜなら、腱鞘炎の原因は痛んでいる局所以外にもあり、また関節の歪みなども要素として関連します。

それらが原因である場合は、いくら湿布を貼っても根本的な改善をすることはできません。

炎症を抑えたり、貼ることで痛覚を一時的に紛らわせることは可能ですが、あくまでも対症療法であるとお考えください。

温めれば良くなる?

腱鞘炎で痛んでいる局所を温めると、逆に悪化するケースがあります。

それは、炎症反応が顕著に出ている時です。

腫れている・熱感があるなどの場合は、まずは冷やして対応するのがセオリーです。

慢性期では、お風呂で温めるなど温熱療法が効果的ではありますが、これもまた腱鞘炎の原因がどこにあるのかを見極めていく必要があります。

そのため、ただ温めれば良くなるというケースはかなり稀です。

痛みが取れる=完治ではない

骨盤の模型を用いた説明風景

腱鞘炎をはじめとする症状において、痛みが取れればそれで根本改善かといえば必ずしもそうではありません。

特に処置をしなくても、「痛みがマシになったからそれで良し」としている方は、意外と多いと私は感じています。

もちろん、人間には自然治癒力があり、痛みのない元の状態に戻ろうとする働きはあります。

しかし、それで全ての原因がなくなるわけではなく、あくまでも鎮静時期として痛みが一旦おさまっているだけのケースがあります。

また、歪みなどの症状の原因が取り除かれていなければ、またどこかのタイミングで再発したりします。

つまり、症状が出ている早期の段階でいかに対処できるかがポイントとなります。

当院の腱鞘炎の整体

当院の腱鞘炎に対する整体の流れについてご説明します。

・全身の構造をチェック

まずは構造面の問題について検査をおこなっていきます。

こちらの記事内でもお伝えしているように、手首以外の構造の問題が腱鞘炎に関連しているケースが多いため、詳細にチェックしていく必要があります。

・筋反射のチェック

筋力検査をしている風景

筋力反射の検査をおこない、頚部から手首や腕までの神経伝達が正常であるかをチェックします。

手首周辺の問題だけでなく、神経などの支配領域についても把握していきます。

・構造面へのアプローチ

背部の整体施術の様子

身体の構造面の問題に対して、整体でアプローチをしていきます。

手首に関連する箇所の問題を探しながら、全身のバランスを整えていきます。

・体液循環の調整

体液循環の調整の様子

血液・リンパ液・脳脊髄液(CSF)などの体液循環を整えていきます。

腱鞘炎には全身の体液循環が関連するため、調整することで関節の動きが滑らかになるようにしていきます。

・自律神経の調整

自律神経の調整をしている様子

身体の治癒力を高めるために、自律神経の調整をおこなっていきます。

構造面や体液循環のアプローチに加えて、神経系の調整を行うことによって効果が高まりやすくなります。

まとめ

腱鞘炎の整体についてまとめていきます。

  • 一般的には使いすぎが主な原因とされる
  • 腱と腱鞘の摩擦で炎症が起きやすい
  • 手首以外の箇所や神経・水分が関連する
  • 腱鞘炎の痛みを感じたら早期対応が重要

日常生活において手を使う動作は頻繁におこなうため、辛い腱鞘炎の痛みは早く解決しておきたいもの。

こちらの記事でもお伝えしている通り、手首以外の問題や水分摂取などの生活習慣も大きく関わるため、全身をトータルで診ていく必要があります。

局所を揉んだり、サポーターを着けたりしても改善されないような腱鞘炎でお困りの方は、一度当院にご相談いただければと思います。


*ご予約はこちら→〈予約・お問い合わせページ〉

【記事作成者 整体サロンINUI(新大阪・西中島南方)】

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乾 裕樹

乾 裕樹

大阪府出身 1990年9月11日生まれ 血液型 A型 明治東洋医学院専門学校 鍼灸学科卒業 取得国家資格 はり師・きゅう師 一般社団法人 日本統合手技協会 理事 一般社団法人 日本統合手技協会 公認インストラクター 京都府立医科大学 解剖実習修了  (施術家としての経歴) 高校卒業後、18歳で施術家の道へ。 午前は鍼灸の専門学生として学び、午後は地元の鍼灸整骨院で夜遅くまで勤務。 主に運動器疾患やスポーツ障害についての理論や施術方法を習得する。 ↓ 専門学校卒業後は不妊症を専門とする鍼灸院にて修行。 婦人科疾患や逆子の施術、小児はり、自律神経失調症の方々へのアプローチ、東洋医学的な診察方法について学ぶ。 お客様への接遇や仕事に対する姿勢など、社会人としての基礎を教えて頂く。 ↓ 内臓へのアプローチを専門とする整体サロンにて修行。 肩こりや腰痛などをはじめとする身体の痛みと、内臓の問題が関連することを学ぶ。 それと同時に、筋肉を揉んだりほぐすだけでは根本的には良くならないことを知る。 ↓ 妊産婦のお悩みを専門に扱う整体サロンにて修業。 産後骨盤矯正やマタニティ整体を通して、産後ママや妊婦の身体の状態について学ぶ。 その他、発達の遅れやチックなどの小児整体、美容鍼・小顔矯正のテクニックを習得。 26歳で同サロンの分院長に就任。 約4年にわたり代表セラピストとして全ての施術メニューを担当し、所属スタッフの技術指導・育成に携わる。 ↓ これまでの技術・経験だけでは改善できない症状に数多く巡り合い、施術家としての頭打ちを感じる。 そんな折、現在の師匠である松本恒平と出会う。 多くの施術家が見落としている原理原則、触診、国際基準の療術について学び、これまで習得した技術や知識のバラバラだった”点”が”線”で繋がる。 それをきっかけに、辛い症状と闘う人たちの力になれることを確信し地元である新大阪・南方エリアにて開業。

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コメント

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