院長ブログ

産後の腱鞘炎の整体|原因や治療について妊産婦ケアに強い整体サロンINUIが解説

こんにちは。新大阪・西中島南方エリアの整体院、整体サロンINUI 代表の乾です。

私は18歳で整体業界に入ってから12年以上、産後の腱鞘炎をはじめとする妊産婦ケアの施術現場に携わってきました。

今回の記事では、整体師である私の経験をもとに、産後の腱鞘炎の原因や当院での産後の腱鞘炎の整体についてお話ししていきたいと思います。

産後の腱鞘炎について

手の骨格模型

産後の腱鞘炎についてご説明していきます。

その名の通り、手首の痛みを引き起こす腱鞘炎が産後に起こった状態のことを指します。

産後は抱っこや沐浴、授乳などで手首を酷使することが増えるため、腱鞘炎に悩まされる産後ママが非常に多いです。

抱っこをする機会の多い産後1年以内では、全体の3〜4割の方が腱鞘炎を発症するとも言われています。

痛みの程度によっては、抱っこなどの育児はもちろんのこと、物を掴んだり家事をすることもままならない様な状態になってしまうケースも。

ただでさえ忙しい産後の時期に、ご自身の身体が言うことをきかない状態になってしまっては、生活にかなりの支障をきたします。

産後の腱鞘炎の原因やメカニズムについて知った上で、早期に対策をしていくことが重要となります。

産後の腱鞘炎の症状

ママに抱っこされている子供

産後の腱鞘炎の症状についてご紹介していきいます。

臨床でよくみられる症状としては、

  • 長時間の抱っこで手首が痛くなる
  • 手首の痛みで抱っこができない
  • 沐浴の際、頭を支える手が辛い
  • フライパンを握る時に手首が痛む
  • 痛みでビンの蓋などを開けられない
  • 手首や指の曲げ伸ばしがしづらい
  • 床に手をつくと手首が痛む
  • すぐに腕がだるくなる
  • 手首が腫れている、熱感がある


などが挙げられます。

何かを持ったり掴んだり、手に対して負担がかかった瞬間に痛みを感じるのが大きな特徴です。

日常の些細な場面で痛みを生じるため、産後の腱鞘炎は生活の質(QOL)にも大きな影響をもたらします。

腱鞘炎のセルフチェックの方法

腱鞘炎のセルフチェックの方法について解説していきます。

腱鞘炎の検査で用いられる「フィンケルシュタインテスト」というものがあります。

まずは下の図のように、ご自身で痛みのある手の親指を握ります。

腱鞘炎のセルフチェック


その状態のまま、小指側に手首を曲げていった時に親指の付け根に痛みが出れば陽性です。

フィンケルシュタインテスト


こちらの検査でわかる腱鞘炎については、別名「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」にあたります。

逆にこのテストで反応が出なかった場合は、別の原因が考えられます。

腱鞘炎以外の手首の痛みについてはこちらを参照→◇手首の痛みの改善方法

産後の腱鞘炎の原因

産後の腱鞘炎の原因について、私の経験も踏まえてそれぞれ解説していきます。

使いすぎ(オーバーユース)

一番シンプルな産後の腱鞘炎の原因として、使いすぎ(オーバーユース)が考えられます。

同じ部位ばかりを繰り返し使っていると、誰でも壊れてしまいます。

抱っこをはじめ、産後は手首や腕などに負担がかかりやすい時期です。

それによる使いすぎが産後の腱鞘炎の大きな要因の一つとなります。

身体の回復力の問題

座って子供を抱くお母さんたち

身体の回復力や自然治癒力のレベルが影響し、腱鞘炎を引き起こす原因となります。

産後は夜間の授乳など、生活スタイルの変化によって今までのように十分な睡眠・休息がとれません。

その結果、身体の修復が遅れたり疲労が蓄積することによって、腱鞘炎の症状を引き起こすきっかけとなります。

また、産後はホルモンバランスの影響も大きく受けるため、通常時に比べて不調を訴えやすくなる時期でもあります。

以前から抱える身体の問題

頭蓋骨の骨模型

産前からの身体の問題が影響して、腱鞘炎の症状を引き起こすケースがあります。

身体に抱えている問題は人によって異なりますが、その問題は手首だけに限ったことではありません。

手首以外の歪みや硬さなども原因の一つとなります。

例えば、抱っこをするという動作ひとつにしても、何も手首だけを使っているわけではありません。

支えるために体幹を使うなど、全身を使って抱っこを行っているのです。

もしも背骨が歪んでいたり動きが悪かったとすると、それだけで抱っこ時の腕の負担が増えたり、手に余計な力が入る原因にもなります。

産後だけでなく、産前からの身体の問題によっても腱鞘炎は引き起こされる可能性があります。

腱鞘炎では何が痛んでる?

腱鞘炎で痛んでいる組織についてご説明していきます。

写真のように親指を立ててみると親指の腱が2本浮き上がってきます。

その2本のうちの手前側の腱です。

腱鞘炎で痛む箇所のイメージ図

このあたりには①短母指伸筋腱と②長母指外転筋腱が通ります。

その2本の腱と手首にある腱鞘(けんしょう)が腱鞘炎の起こるポイントとなります。


↓腱鞘のイメージ図

腱鞘を示した解剖図
【ネッター解剖学アトラス 原書第6版より引用】

腱鞘は、複数ある腱がバラバラにならないように、リストバンドのような構造をしています。

手首や指を動かす際に、腱鞘のなかを腱が出たり入ったりすることで摩擦が生じ、手首の炎症や痛みの原因となります。

ちなみに、生きた解剖で腱鞘を見てみると、図のような分かりやすいバンド状のものではなく、実際はほぼ水のような薄い組織だそうです。

そのため、グリグリ押さえたり圧迫することで逆に悪化するケースもみられます。

産後の腱鞘炎の対策

産後の腱鞘炎の対策についてご紹介していきます。

抱き方の工夫

抱っこのやり方を工夫してみることも、産後の腱鞘炎の対策のひとつです。

具体的には、抱く際の手の置き方を変える方法です。

まず、抱っこでお子さんのお尻を支えていると、下の方の手は特に荷重がかかりやすく負担が大きくなります。

その際の手のポジションとしては、写真のように小指側に手首を倒しながらさらに少し掌屈(手前に屈曲)するケースがほとんどです。

抱っこの際の手首の角度の説明図

この手のポジションで長時間抱っこすることで、腱鞘炎のリスクは高まります。


対策としては、抱く際の手のポジションを逆にすることで、負担は大きく軽減できます。

例えば、写真のように下で支える方の手のひらを返した状態で抱っこをしてみるのもおすすめです。

腱鞘炎を防ぐ抱っこの仕方のイメージ

主にこの手のポジションで抱っこする、もしくは普通の抱き方と併用してこまめに手を組み変えてみるなどが産後の腱鞘炎の対策となります。

この抱き方に慣れるまでは、落ちないようにしっかり支えてあげてくださいね。

どんな体勢や動作でも同じことですが、長時間に渡ったり使い方の偏りが大きいと、もちろん身体の負担は増えてきます。

やりやすいからといってずっと同じ側を使うなど、左右差が出やすい環境は見直しましょう。

泣いた時の対応

赤ちゃんが泣いた時の対応として、「すぐに抱っこしない」ことも腱鞘炎の対策のひとつです。

赤ちゃんが泣いていると、どうしてもすぐに抱っこしてあげたくなるかもしれません。

しかし、おもちゃを使う・声かけをするなど、抱っこ以外にもできることはあるかと思います。

また、泣くこと自体は成長発達のためにも決して悪いことではなく、むしろ必要なことです。

抱っこ以外でコミュニケーションをとってみる、しばらく泣かせてあげてみる、それでも難しければそこではじめて抱っこする。

抱っこするまでの時間にタイムラグが少しあるだけでも、手首への負担はかなり軽くなります。

もちろん、状況によって色々と勝手は違うとは思います。

ただ、「すぐに泣き止ませないと」という意識を変えるだけでも、腱鞘炎をはじめ産後ママの心身の状態は変わってくると考えます。

当院の産後の腱鞘炎の整体

当院の産後の腱鞘炎の整体についてご紹介していきます。

・全身の歪みのチェック

まずは身体の構造面の問題をチェックしていきます。

先述のように、手首以外の問題が引き金となるケースがあるため、全身の問題を詳しく検査していきます。

・神経学的検査

筋力検査をしている風景

筋肉の反射テストなどを用いて、神経伝達の検査を行います。

腱鞘炎が起こる手首の周辺は、首から出てきた神経によって支配されます。

そのため、このような検査を行うことで神経由来の問題なども見つかることがあります。

・構造面の調整

肩背部の整体施術の風景

検査で得られた情報をもとに、身体の硬くて動かない箇所へ整体でアプローチしていきます。

手首だけでなく、全身のバランスを整えることで腱鞘炎の早期回復が期待できます。

・体液循環の調整

体液循環調整の様子

血液・リンパ液などをはじめとする体液の循環を整えていきます。

産後は特に運動量が落ちてしまうため、体液循環を促進することで腱鞘炎をはじめとする不調の回復力が上がりやすいです。

・自律神経の調整

自律神経の調整をしている様子

自律神経の調整を行っていきます。

これまでの構造面や循環系の問題と合わせて、神経系の状態も整えておくことで身体の修復スピードが早まります。

産後の整体を受けられた方の声(動画)

当院で産後の整体を受けられた方の声をご紹介していきます。

※個人の感想です。全ての方に効果を保証するものではありません。

まとめ

産後の腱鞘炎についてまとめていきます。

  • 腱鞘炎は産後女性の3〜4割ほどに起こる
  • 腱鞘炎は腱と腱鞘の摩擦によって生じる
  • 産前・産後の両方の問題が関連してくる
  • 抱き方などの工夫も症状改善には大切
  • 腱鞘炎の改善には全身調整が必要となる


産後の育児で、皆さん大変な毎日をお過ごしだと思います。

産後の腱鞘炎に限らず、お悩みの症状の原因やアプローチの仕方はその人の数だけ存在します。

身体の痛みが和らぐことで、「子供や家族に対する接し方も変わった」とおっしゃる方も少なくありません。

育児で大変な今だからこそできるケアがきっとあるはずです。

産後の腱鞘炎でお悩みの方は一度ご相談ください。


*ご予約はこちら→〈予約・お問い合わせページ〉

【記事作成者 整体サロンINUI(新大阪・西中島南方)】

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乾 裕樹

乾 裕樹

大阪府出身 1990年9月11日生まれ 血液型 A型 明治東洋医学院専門学校 鍼灸学科卒業 取得国家資格 はり師・きゅう師 一般社団法人 日本統合手技協会 理事 一般社団法人 日本統合手技協会 公認インストラクター 京都府立医科大学 解剖実習修了  (施術家としての経歴) 高校卒業後、18歳で施術家の道へ。 午前は鍼灸の専門学生として学び、午後は地元の鍼灸整骨院で夜遅くまで勤務。 主に運動器疾患やスポーツ障害についての理論や施術方法を習得する。 ↓ 専門学校卒業後は不妊症を専門とする鍼灸院にて修行。 婦人科疾患や逆子の施術、小児はり、自律神経失調症の方々へのアプローチ、東洋医学的な診察方法について学ぶ。 お客様への接遇や仕事に対する姿勢など、社会人としての基礎を教えて頂く。 ↓ 内臓へのアプローチを専門とする整体サロンにて修行。 肩こりや腰痛などをはじめとする身体の痛みと、内臓の問題が関連することを学ぶ。 それと同時に、筋肉を揉んだりほぐすだけでは根本的には良くならないことを知る。 ↓ 妊産婦のお悩みを専門に扱う整体サロンにて修業。 産後骨盤矯正やマタニティ整体を通して、産後ママや妊婦の身体の状態について学ぶ。 その他、発達の遅れやチックなどの小児整体、美容鍼・小顔矯正のテクニックを習得。 26歳で同サロンの分院長に就任。 約4年にわたり代表セラピストとして全ての施術メニューを担当し、所属スタッフの技術指導・育成に携わる。 ↓ これまでの技術・経験だけでは改善できない症状に数多く巡り合い、施術家としての頭打ちを感じる。 そんな折、現在の師匠である松本恒平と出会う。 多くの施術家が見落としている原理原則、触診、国際基準の療術について学び、これまで習得した技術や知識のバラバラだった”点”が”線”で繋がる。 それをきっかけに、辛い症状と闘う人たちの力になれることを確信し地元である新大阪・南方エリアにて開業。

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