院長ブログ

産後の尿もれの整体|原因や対策について妊産婦ケアに強い整体サロンINUIが解説

こんにちは。新大阪・西中島南方エリアの整体院、整体サロンINUI 代表の乾です。

私は18歳で整体業界に入ってから12年以上、産後の尿もれをはじめとする妊産婦ケアの施術現場に携わってきました。

今回の記事では、慢性症状専門の整体師である私の経験をもとに、産後の尿もれの原因や対策、当院での整体についてお話ししていきたいと思います。

産後の尿もれ症状について

骨盤模型を使って説明している様子

産後の尿もれ症状についてご紹介していきます。

産後の尿もれは、日常生活の様々な場面で起こってきます。

その一例としては、

  • 立ち上がろうとした時
  • 重いものを持った時
  • 咳やくしゃみをした時
  • 子供を抱っこした時
  • 笑った瞬間


などがあります。

産後はもともと尿もれが起こりやすい時期ですが、多くの場合は時間の経過とともに自然に良くなります。

しかし、数ヶ月以上いつまでもダラダラと続いている場合は要注意です。

また、症状について周囲には気軽に相談しづらい部分もあり、「そのうち治るかな?」と放置している方も少なくないようです。

産後のお身体の状態や臨床でよくある原因などを知ることで、産後の尿もれ改善の糸口になればと思います。

産後の尿もれは主に2種類

産後の尿もれの種類についてご紹介していきます。

主には、

  • 腹圧性尿失禁
  • 切迫性尿失禁


の2種類があります。

それぞれ解説していきましょう。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)は、腹圧が加わることによって起こる尿もれのことです。

こちらの記事の冒頭にお伝えしたように、

  • 立ち上がろうとした時
  • 重いものを持った時
  • 咳やくしゃみをした時
  • 子供を抱っこした時
  • 笑った瞬間


など、力が入った瞬間に漏れてしまうのが、腹圧性尿失禁の大きな特徴です。

産後の尿もれといえば、一般的にはこの腹圧性尿失禁を指して言われることが多く、悩まれいている方もたくさんいらっしゃいます。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)は、尿意を我慢したりコントロールしたりするのが困難な尿もれのことです。

例えば、尿意を感じてからトイレに向かっても間に合わなかったり、我慢できずに漏れてしまうケースなどがあります。

原因としては、脳からの排尿に関する命令がうまく伝わらなかったり、膀胱が勝手に収縮することなどが関連します。

その他にも、排尿したいのに出なかったり、チョロチョロと少しずつしか出ないなどの溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)といったものもあります。

このように、尿もれにはいくつかの種類があり、産後は泌尿器関連の症状の発生頻度も高くなります。

産後の尿もれの原因

産後の尿もれの原因について解説していきます。

一般的には、 骨盤底筋の弱り によるものだと言われています。

骨盤底筋群のイメージ図

骨盤底筋とは、上の図で示したような骨盤下部に存在する筋肉(膜組織)のことです。

様々な筋肉が集まることによって、骨盤底筋群と呼ばれています。

上記イラストでは、あえて分かりやすく平面的な形状で示しましたが、実際にはもっと下の方まで続いたり立体的な構造をしている箇所もあります。

骨盤底筋群は、本来であれば自ら意識しなくても、ちょうど良い具合に力が入っているものです。

しかし、分娩による裂傷のダメージなどが原因で、出力が弱くなったりうまく働きにくい状態となるケースがあります。

特に普通分娩の場合、産道を通ることで骨盤底筋のエリアにも直接的に負荷が加わるため、産後の尿もれの大きな要素のひとつであると考えます。

産後の尿もれが起きる確率

産後の尿もれが起こる確率についてご説明していきます。

産後の尿もれの発生頻度に関しては、各所で様々なデータがとられています。

女性1000人を対象にしたとある研究データによると、

妊娠中や産後に限らず尿もれを経験したことのある女性は全体の約60%にのぼり、うち80%以上の方は出産を機に感じるようになった。

というデータがあります。

産後の女性の大半が、尿もれを経験したことがあるということですね。

しかし、産後のお身体の状態は、人によって具合が異なります。

尿もれの原因も含めて、一人一人の問題点を見極めて対処していく必要があります。

こんな時は病院を受診してください

座って子供を抱くお母さんたち

病院を受診すべき状態について解説していきます。

例えば、

  • トイレの回数が明らかに増えた(頻尿)
  • 排尿時に痛みを伴う
  • 残尿感がある
  • 尿がにごる、血が混ざる


これらに当てはまる項目があれば、膀胱炎の可能性があります。

その際は、自己判断に任せるのではなく、一度病院を受診されることをおすすめします。

このような症状の場合は、泌尿器科を受診してもらえればOKです。

私が出会った尿もれ患者の共通点

私がこれまで妊産婦ケアをおこなう中で感じた、尿もれでお悩みの方に共通する点についてお伝えしていきます。

内臓の下垂

腹部の調整をしている様子

尿もれを引き起こしている方は、内臓が下垂しているケースがあります。

内臓下垂とは、その名の通り臓器が下に下がることを言います。

一般的によく言われる「胃下垂」も、内臓下垂のうちのひとつです。

出産後は特に、内臓の位置に変化が起きているケースが多くあります。

内臓下垂は、骨盤内にある膀胱や子宮などの臓器をはじめ、上部にある胃などの臓器まで幅広く関わります。

骨盤内の臓器下垂は、主に出産による局所組織の損傷やゆるみによって起こりやすいと言われています。

胃などについては、妊娠中に上に追いやられていた状態だったものが、出産に伴い下に降りてくることが原因のひとつとされています。

脳や隔膜の下垂

頭蓋骨の骨模型

脳や隔膜の下垂も産後の尿もれに関連します。

出産後に下垂するのは内臓だけではありません。

オステオパシーの世界では、出産に伴い脳がわずかに下垂すると言われています。

「脳が下垂」と言われてもピンときませんよね?

しかし、実際に起こることがあるのです。

そもそも私たちの身体の組織は、大元をたどれば同じような組織からできあがっていて、頭からつま先まで全身の組織が連動しつながりを持っているのです。

そのため、距離は離れていますが内臓下垂が起こるのと同じように、膜の組織でつながっている脳も下がってしまうことがあるのです。

他にも、私たちの身体には隔膜(かくまく)という膜組織があり、水平面上に広がるようにして身体の各所に存在しています。

  • 骨盤隔膜
  • 横隔膜
  • シブソン筋膜
  • 小脳テント


など、大きな役割を果たす膜組織が、骨盤・みぞおち・鎖骨付近・脳内にあります。

それらの動きや機能性が低下することもまた、産後の尿もれを引き起こすひとつの要因です。

当院では、それらの組織に対するアプローチも整体施術の中でおこなっていきます。

胸椎の問題

胸椎の解剖図
【ネッター解剖学アトラス 原書第6版より引用、編集】

胸椎の問題も、産後の尿もれ患者さんに共通している問題のひとつです。

考えられる理由としては、育児による抱っこなどの物理的な負担の増加が挙げられます。

これまでとは生活スタイルもガラッと変わり、加えて睡眠不足などによって回復しづらい状態になっていこともまた要因となります。

胸椎の硬さや歪みが起こることで、その下にある腰椎や骨盤周辺にもダイレクトに負担がかかってしまうため、そのあたりのケアをおこなうことが尿もれ対策にも役立つと考えています。

また、猫背が気になっているタイプの方も、この胸椎の問題について当てはまる可能性が高い傾向にあります。

日常の座り方にも注意が必要

産後の尿もれ症状では、日常生活での座り方についても注意が必要となります。

特に女性に関してですが、横座りやお姉さん座りなど、アンバランスな姿勢で座られることが多いかと思います。

しかし、骨盤への荷重に極端な左右差があったり、座面に当たる骨盤の骨(坐骨)が開いてしまうような姿勢になると、尿もれが改善されにくい状態となってしまいます。

産後にオススメの座り方は あぐらの姿勢 です。

なぜなら、坐骨を開かずに左右のバランスもとりやすいポジションだからです。

ただし、長時間同じ姿勢をとるのもまた負担になってきますので、あぐらを中心にしながらこまめに姿勢を変えるのが理想的です。

あぐらの姿勢を無理なく続けるには、お尻の下に座布団やバスタオルなどを挟み、高さを調整するとかなり楽に座れますよ。

イスやソファーに座る際には、極端に深くもたれて骨盤が後ろに倒れるような姿勢や、背筋に力が入っているような姿勢にならないように注意が必要です。

こんな場合は整体施術が必須

患者さんへのヒアリング風景

産後の尿もれにおける、整体施術が必要となるケースについてお伝えしていきます。

それは、

骨盤底筋トレーニングをしているのに尿もれが改善しないケース

です。

ネットで検索すれば、骨盤底筋のトレーニングに関する情報は山ほど出てきますし、YouTubeにもたくさんアップされています。

そもそも、トレーニングのやり方が間違ってしまっている場合もありますが、トレーニングを続けても改善されない場合は、整体施術などによる介入が必須だと考えます。

私の臨床経験上、施術とトレーニング両方取り組まれている方の場合で2〜4週間、早い方では初回の施術から次の来店時には尿もれを感じなくなっていることもあったりします。

あくまでも私の統計上ですし、施術とトレーニングを併用しての目安ではあります。

ご自身でトレーングに取り組まれる場合、1ヶ月以上経過しても改善されない場合は、整体などで何らかの対策が必要となります。
(本来は全然1ヶ月経ってなくても、早めにご相談いただけるのが理想です。)

当院での産後の尿もれの整体

当院での産後の尿もれの整体の流れについてご紹介していきます。

・構造面のチェック

構造面の検査の様子

全身の構造面の歪みについてチェックをおこないます。

骨盤はもちろんのこと、尿もれに関連しやすい箇所を中心に検査していきます。

・神経学的検査

神経学的検査をしている様子

神経学的検査を用いて、脳神経や関節の位置覚の状態についてチェックをおこないます。

・構造面へのアプローチ

足の整体をしている様子

全身の構造面に対して、整体施術によるアプローチをおこないます。

「私が出会った尿もれ患者の共通点」でもお伝えした、背骨や内臓などの尿もれに関連する部位も調整していきます。

・体液循環の調整

血液・リンパ液・脳脊髄液(CSF)をはじめとする、体液循環の調整をおこなっていきます。

特に産後は、分娩によるダメージを回復させていく必要がありますが、この体液循環の調整はその回復力を高める効果が期待できます。

・自律神経の調整

自律神経の調整をしている様子

自律神経に対するアプローチをおこなっていきます。

私たちの身体を正常に機能させるためには、自律神経のはたらきが必要不可欠です。

睡眠不足や生活習慣の変化など、産後の様々な要因で乱れた自律神経の状態を整えていきます。

当院で産後の整体を受けた方の声

当院で産後の整体を受けられた方の声をご紹介していきます。

産後の恥骨痛、花粉症(30代女性 N様)

※個人の感想です。全ての方に効果を保証するものではありません。

(以下、文字起こし)

【Q.来院前のお悩みは?】
難産による傷が深く、産後の身体の回復が遅かったり、恥骨の痛みで産後3ヶ月は歩くのもままならない状態でした。

痛みだけでなく、それによって精神的にも辛くなってしまい育児どころではなかったです。

「治るのかな?」という不安でいっぱいでした。


【Q.その他の症状は?】
産後の尿もれ、30年来の副鼻腔炎、花粉症などのアレルギー症状で悩んでいました。


【Q.病院には行かれましたか?】
産後の症状については産婦人科に行きましたが、「日にち薬」と言われました。

アレルギー症状については耳鼻科に行って薬を飲んでいましたが、次第に薬も効かなくなっていたし「このままで大丈夫かな?」と薬に対する抵抗感も持ち始めました。


【Q.ご自身で取り組まれていたことは?】
特に何もしていませんでした。

ただただ我慢して過ごすという状態でした。


【Q.ご来院のきっかけは?】
しんどさがひどくて耐えかねて連絡しました。


【Q.当院を選ばれた理由は?】
先生の治療に対する想いやプロフィール、あとは他のところでは書かれていないような内容がホームページにたくさんあったからです。


【Q.施術を受けられての変化は?】
産後の症状は3〜4回(約1ヶ月)で痛みがなくなりました。

恥骨がめっちゃ痛かったので這うように生活していましたが、その頃には普通に歩けるようになっていました。

花粉症やアレルギー症状は30年以上の付き合いで、だいたい11月〜6月頃に花粉症→風邪→副鼻腔炎→咳ぜんそくという流れがあったのが、通い始めた年からはなくなっていました。


【Q.問診や対応などはいかがでしたか?】
一番驚いたのは、先生は少し触れただけで自分が一番しんどい所や気づかない所を指摘してくれることです。

「まさにそこ!」という部分を治してくれるので、「言わなくても分かってくれている」という安心感があり、身体のことは全部お任せしている状態です。


【Q.同じ症状でお悩みの方へメッセージ】
出産やアレルギーについては、重大なことだとあまり捉えられていないように感じますが、本人にとっては本当に辛いことだと思います。

なので、そこで「もう治らない」と諦めるのではなく気持ちを前向きにして一度先生に相談してみれば、育児も楽しくなるし健康に過ごしてもらえるのではないかと思います。

ほとんどの方は自然と治りますが…

骨盤矯正をしている様子

尿もれは産後数ヶ月で自然と治るケースが多いです。

しかし、整体的観点でみると、「症状が出なくなった=原因が無くなった」ということではありません。

例えば、骨盤底筋の出力が低下していたり、内臓や脳などの下垂が起きていたり、それらの問題が今後尿もれ以外の症状を引き起こす可能性があるということです。

ほとんどの人は、症状がなくなってからわざわざ時間とお金をかけて治療を受けに行ったりはしないと思います。

でも、この産後の時期というのは、慢性的な問題を解決するためにうってつけの時期です。

この時期だからこそできる治療というものがあります。

産後の骨盤矯正ももちろんですが、本来のあなたが持つパフォーマンスを最大化するためにも、産後は確実にケアが必要であると私は考えます。

まとめ

産後の尿もれの整体についてまとめていきます。

  • 産後の尿もれは主に腹圧性尿失禁である
  • 産後の女性の約8割が感じたことがある
  • 骨盤底筋が産後の尿もれに大きく関連する
  • 臨床では内臓や脳の下垂も見る必要がある
  • 座る方などの日常習慣も見直すことが大切
  • 症状の有無に関わらず産後の整体は受けるべき


産後は尿もれの起こりやすい時期です。

それに加えて、身体の痛みや精神的なストレスなど、世の中のママさん達は大変な環境で頑張っている方ばかりだと思います。

そんな大変な環境を乗り越えるためにも、まずは身体をニュートラルな状態にしておく必要があります。

当院では妊産婦ケアにも力を入れており、その時期に合わせた根本的な治療をご提案しています。

産後の尿トラブルでお悩みの方は、是非一度ご相談いただければと思います。


*ご予約はこちら→〈予約・お問い合わせページ〉

【記事作成者 整体サロンINUI(新大阪・西中島南方)】

関連記事

◇産後の骨盤の歪み改善方法
◇産後の痛み・しびれの改善方法
◇産後の腱鞘炎の治し方
◇産後の膝痛の治し方
◇産後の恥骨痛・尾骨痛の治し方
◇産後の乳腺炎の改善方法
◇産後うつの改善方法
◇子供の夜泣き改善について
◇子供の免疫力の上げ方
◇子供のお腹の弱さの改善法
◇子供の発達障害について
◇落ち着きがない子への整体(ADHD)
◇学習障害(LD)について
◇子供の姿勢改善について
◇起立性調節障害(OD)の治し方


乾 裕樹

乾 裕樹

大阪府出身 1990年9月11日生まれ 血液型 A型 明治東洋医学院専門学校 鍼灸学科卒業 取得国家資格 はり師・きゅう師 一般社団法人 日本統合手技協会 理事 一般社団法人 日本統合手技協会 公認インストラクター 京都府立医科大学 解剖実習修了  (施術家としての経歴) 高校卒業後、18歳で施術家の道へ。 午前は鍼灸の専門学生として学び、午後は地元の鍼灸整骨院で夜遅くまで勤務。 主に運動器疾患やスポーツ障害についての理論や施術方法を習得する。 ↓ 専門学校卒業後は不妊症を専門とする鍼灸院にて修行。 婦人科疾患や逆子の施術、小児はり、自律神経失調症の方々へのアプローチ、東洋医学的な診察方法について学ぶ。 お客様への接遇や仕事に対する姿勢など、社会人としての基礎を教えて頂く。 ↓ 内臓へのアプローチを専門とする整体サロンにて修行。 肩こりや腰痛などをはじめとする身体の痛みと、内臓の問題が関連することを学ぶ。 それと同時に、筋肉を揉んだりほぐすだけでは根本的には良くならないことを知る。 ↓ 妊産婦のお悩みを専門に扱う整体サロンにて修業。 産後骨盤矯正やマタニティ整体を通して、産後ママや妊婦の身体の状態について学ぶ。 その他、発達の遅れやチックなどの小児整体、美容鍼・小顔矯正のテクニックを習得。 26歳で同サロンの分院長に就任。 約4年にわたり代表セラピストとして全ての施術メニューを担当し、所属スタッフの技術指導・育成に携わる。 ↓ これまでの技術・経験だけでは改善できない症状に数多く巡り合い、施術家としての頭打ちを感じる。 そんな折、現在の師匠である松本恒平と出会う。 多くの施術家が見落としている原理原則、触診、国際基準の療術について学び、これまで習得した技術や知識のバラバラだった”点”が”線”で繋がる。 それをきっかけに、辛い症状と闘う人たちの力になれることを確信し地元である新大阪・南方エリアにて開業。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。